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運動習慣の重要性

「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」をご存知ですか?最近、生活習慣病とともに予防すべきものとして話題になっています。
 
 
「ロコモティブシンドローム」(以下ロコモ)とは、運動器(=人間が「歩く」「作業する」などの広い意味での運動を行うために必要な身体の仕組みのこと。骨・関節・筋肉・神経などで成り立っている。)が障害を起こし、身体能力(移動機能)が低下した状態を言います。
 
 
ロコモの原因は加齢や生活習慣や骨・関節・筋肉の疾患などによる筋力の低下です。
筋力が低下すると平衡感覚はあってもバランスを崩しやすくなるため、転倒のリスクが高まり、関節を痛めることにも繋がります。するとバランス能力の低下の不安感や痛みへの恐怖からさらに動く機会を減らしてしまいます。そして運動不足が進むと関節の可動域まで狭くなり歩幅が縮小、歩くスピードも距離も落ちて歩く時間そのものが減ってしまいます。こういった症状によって活力を失い生活や社会的活動の範囲が狭まると、体力的にだけでなく精神的にも大きな影響がでてきます。引きこもりがちになれば屋内での移動も徐々に困難になり屋内でも転倒のリスクが増加します。結果、立ち上がる・歩行も一人で行うことが困難になりやがて寝たきりの状態になってしまうというのがそのメカニズムです。
 
 
女性や肥満の人はロコモになりやすいと言われています。
女性は男性と比べると靭帯や膝軟骨が弱く膝関節を損傷しやすい点や、閉経前後から骨密度が大きく低下するのがそう言われる理由です。骨粗しょう症の患者数は男性の約3倍にもなります。
肥満の人は膝関節をはじめとした下半身に大きな負担がかかり膝や腰を痛めやすいためです。痛みのせいで体を動かさないとさらに体重も増えることになり痛みが悪化するという悪循環に陥るケースもあります。
 
 
運動器のどれか一つに障害が起こっただけで移動機能には支障がでますが、高齢者においてはそれぞれの障害・症状が関連しあって、より大きな影響がでてしまうのもロコモの特徴の一つです。ロコモが進行することで立つ・歩くことさえ難しくなり寝たきりになることもあるということは将来介護が必要となる可能性が高いということでもあるので、『介護予防』の観点からもロコモ予防は重要であり、注目されている一因となっています。
さらにロコモは骨粗しょう症や認知症とも深く関係しています。ロコモによって運動機能が低下すると骨が弱くなって骨粗しょう症を発症しやすくなります。骨粗しょう症を発症すると骨がもろくなり、身体を支える重要な骨をも骨折してしまうリスクが高まります。骨折などの治療のために床に臥せる時間が長くなると認知症を発症する可能性も高まります。認知症となれば転倒のリスクが高まりさらにロコモを進行させることに繋がります。このように絡み合っているためどれか一つでも発症すれば深刻な悪循環に陥って要介護や寝たきりの状態になる可能性が非常に高くなるということです。
 
 
 
ここまでのお話でロコモは「高齢になってからの話でしょ?」と思われている方もいらっしゃるのではないかと思います。しかしじつは高齢者だけの問題ではないのです。最近の日本整形外科学会などの研究によって運動器の衰えは20代から進行し、徐々にロコモ化が始まっていることも明らかになっています。今、自覚症状がなくても運動習慣のない人は将来ロコモに陥るリスクが高いことがわかってきたのです。また骨密度も30歳前後でピークを迎えたあとは徐々に低下していきます。運動器も骨密度も50歳以降になると加齢による衰えが加速、ケガや病気のリスクも高まることからさらにロコモになる可能性が一気に高まります。
 
 
日本整形外科学会では誰でも簡単にロコモ診断ができる7つの「ロコチェック」を挙げています。
質問は以下の通りです。
 
・片脚立ちで靴下がはけない
・家の中でつまずいたりすべったりする
・階段を上がるのに手すりが必要である
・家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1Lの牛乳パック2個程度)
・15分くらい続けて歩くことができない
・横断歩道を青信号で渡りきれない
 
1つでも該当する場合はロコモの恐れがあります。みなさんはどうですか?
他にも3つのロコモ度テストがありますが、こちらのテストではその度合いによってロコモを三段階に分けています。
 
[ロコモ度1]
移動機能低下が始まっている状態。すぐに生活に支障がでることはないが、片足立ちでフラフラする・大股での歩行がしづらくなるといった段階。若い間は個人差が目立たず気づかないことも多い。
[ロコモ度2]
移動機能の低下が進行し、自立した生活ができなくなるリスクが高くなっている状態。横断歩道を青信号の間に渡れなくなったり、40㎝程度の低い椅子から支えなしに立ち上がれなくなっている段階。
[ロコモ度3]
さらに移動機能の低下が進行、立ち上がったり歩くのにも苦労する状態。社会参加に支障をきたしている段階。
 
 
 
ではロコモを予防するにはどのような対策が必要なのでしょうか?
ロコモはより早い段階から対策することで予防が可能で、その状態になってしまった場合でも回復させることができます。しっかり対処することで不安や不自由を払拭し、再び歩けるようにもなります。
 
◎運動習慣をつける
運動器の機能は日頃の生活で身体を動かして負荷をかけることで維持できます。つまり若い時から適度に運動する習慣を作って、運動器を意識的に使い続けることが対策として非常に重要であり有効です。
スポーツ庁の調査によると年齢に関係なく運動・スポーツの実施頻度が高い人ほど体力テストの点数が高いことがわかったそうです。運動習慣のない30歳の人よりほぼ毎日運動する50歳の人のほうが体力が高いという結果もあります。運動習慣が体力に大きな影響を及ぼしているのは明らかです。ちなみにロコモの予防には月数回の運動でも効果があります。
 
◎食事で筋力や骨を保つ
運動を行うほか、タンパク質やカルシウムを食事で充分に摂取することで健康寿命を延ばすことができます。タンパク質は足腰の筋力をつくり良い状態に保ってくれます。またカルシウムは骨粗しょう症を予防し、膝や腰の痛みの予防と改善につなげてくれます。これらの効果や吸収を高めてくれるビタミンDやビタミンKも一緒にとりましょう。食事もロコモ予防の観点から非常に重要な役割を担っているのです。
 
 
「仕事で充分体を動かしているからあらためて運動時間を作らなくてもいいのでは?」という疑問があります。
これについては【余暇時間の運動は仕事で行う身体活動よりも健康に関わる生活の質と深く関連があった】というデータが報告されています。つまり仕事での身体活動量が多い人(立ち仕事も含む)であっても、プライベートの時間に短時間でも運動したほうが健康に良いということです。1日10分で良いのだそうです。(ウォーキングなら1000歩程度)グループでできるスポーツなら介護予防効果も高いというデータもあり、よりオススメです。
 
 
 
65歳以上になった時に元気に動けるか・健康寿命を延ばして仕事を続けたり趣味を楽しめるかは今のあなたにかかっているのです。若い時から運動習慣をということですが、日本整形外科学会では20歳代からその対策を始めることをすすめています。時間に追われる生活を送っている人も少なくないと思いますが、1日10分でよいなら何か実践できそうですよね。自分から身体を動かすことをしていないなという人はこれを機に運動習慣をつけてみませんか?
余談になりますが、運動後すぐの入浴は温かいお湯に触れて皮膚に血液が集まってしまうため、筋肉の疲労がとれにくくなってしまうのだそうです。運動後はクールダウンをして30分はあけてから入浴するようにしてください。

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