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4月が再配達削減PR月間とされました

多様な働き方が選択できる社会を実現し、労働力や生産性を維持・高めることを目的とする【働き方改革】の大きな柱の一つである『長時間労働の是正』を促進させるため、来年2024年4月から物流業界においても労働時間上限規制がされることになっています。長く人手不足が深刻な課題として挙げられ続けている当業界ではその『長時間労働の是正』がゆくゆくは人手不足を解消する一手になり得るかもしれない一方で、ドライバーの労働時間上限規制の適用によって運送が困難になる(売上や賃金の減少による離職、さらなる人手不足、配送しきれない荷物の発生)という事態に直面するとして、『2024年問題』と言われ頭を悩ます社会問題となっています。
 
特に私たち軽貨物運送業が多く携わっている宅配便の取扱い個数は、EC(電子商取引)の拡大とコロナ禍によって2021年までの直近5年間で約9.3億個の増加(約23.2%増)となっています。10年前の2012年と比べると荷物量は1.4倍にもなります。今のままでは労働時間上限規制適用後、2025年には荷物の25%が、2030年には35%が運搬不可になると予測されています。少なくとも現状と同じ運び方は難しくなるでしょう。
 
 
配送を依頼される荷物の数(需要)が多く、配送できる荷物の数(供給)がドライバーの長い労働時間によってギリギリ保たれている状態とも言える中、配送ドライバーの大きな悩みの種となっているのが『再配達』です。コロナ禍のおける「置き配」の解禁、様々な形の宅配ボックスの登場、受取場所の増加、運送会社のアプリなど、配送業者も利用者もよりスムーズにいくはずの多くのシステムがあるにもかかわらず、再配達率は全体の1割以上(2022年10月の国交省の調査では11.8%)という数字になっています。特に都市部ではコロナの縛りが緩みリモートワークが減少していることも関係しているのか再配達率が増加傾向にあります。1日に配達しなければならない荷物が100個あるとしたらそのうち10個以上が再配達になる計算です。これを労働力に換算すると、年間で約6万人のドライバーの労働力に相当します。
国土交通省では数年前より目標を設定し、2025年には再配達率を7.5%程度にまで減らすこととしていますが、達成の見通しがついていないというのが現状です。
 
そこで国土交通省は3月14日に《4月を再配達削減PR月間とし、再配達削減に向けた取り組みを実施する》と発表し、経済産業省とも連携、宅配便やEC・通販の事業者とともに取り組みを推進して利用者に呼び掛けていく方針を明かしました。
 
国土交通大臣「2024年問題、これは特に物流業界にとって大きな課題。これをどう解決していくか、我々も荷主団体などにいろいろな効率化に向けてのお願いをしているところだが、その荷物を受け取る消費者=国民の皆様にもお願いしたい」
 
 
再配達になった理由について、2022年の国交省の調査によると、最も多かったのは『配達日時が指定できない商品だった』が32.3%、ついで多かったのは『配達にくることを知らなかった』が22.2%、さらに『いつくるか意識したことがない』というのも8.5%と、いつ配達されるかに関してはあまり関心をもって頂けていない傾向があることがわかりました。
また時間指定になっているにもかかわらずその時間帯に伺っても不在であるケースも一定数あるのだそうです。
たとえ「送料無料」であっても配送については実際にコストが発生しており、再配達となった場合にはCO2排出量の増加や労働生産性の低下による社会的損失が発生していることになります。
そのような再配達が招く社会的損失を幅広く理解し、問題解決に参加して頂くために、環境省で2017年3月から『COOL CHOICE できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン~みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクト~』を行っており、国土交通省も連携して取り組んでいます。
 
 
このキャンペーンの中では再配達に向けて私たち利用者側一人一人ができることも具体的に示しています。
 
<荷物を送る時>
〇相手が1回で受け取れる日時・場所を指定する(相手にあらかじめ連絡し確認をとる)
〇送り先の住所などの情報は正しく記載する
 
<荷物を受け取る時>
〇自分が1回で受け取れる日時・場所を指定する
〇配送状況の通知アプリを活用する
〇まとめ買いで配送回数を減らす
〇お急ぎ便は状況に応じて使い分ける
〇宅配ボックス・置き配・コンビニや職場受取・宅配ロッカーを活用する
 
みなさんはいくつ実行していますか?
ある自治体ではキャンペーンを行い、主にライフスタイルに合わせた荷物の受け取り方について情報発信したところ、受取方法を選ぶだけで、再配達を約52%も削減でき受け取る利用者も受け取りにまつわるストレスが解消されたという結果がでたそうです。
様々な受け取り場所がありますが、その一つに「職場」があります。職場受け取りなら本人が不在でも職場の誰かが代わりにうけとってくれるので再配達にはなりません。しかも導入方法は職場の責任者が「職場で受け取ってOK」と周知するのみでよく、大きなコストや新しいシステム開発のいらない取り組みとして注目を集めています。実際に利用した人たちからは「確実に受け取れるので再配達の手続きいらずで、慌てて帰宅する必要もなく、家族に知られたくないプレゼントなどの受け取りにも便利」との声が、また配送ドライバーからも「日中に確実に配達できるので早朝や夜間の配達が減って助かる」「複数の配達先をまとめることにもなって配達件数が減るのはありがたい」との喜びの声があがったそうです。宅配便職場受け取りも含め温暖化防止につながるアクションを行うとポイントをもらうことができ、県内で使える食事券や商品券が当たる抽選に応募できるという取り組みを行った自治体では1700以上もの声が寄せられ関心の高さがうかがえたとのことです。
IoT宅配ボックスの実証プロジェクトを行ったところもあります。その結果、設置前の再配達率41%が16%に下がり、わずかモニター100件の3ヶ月で配送業者の労働時間に換算すると141時間、CO2も301㎏(杉の木約22本のCO2吸収量)が削減できたということになりました。IoT機能とはスマホ操作を組み合わせセキュリティと使い勝手を向上させるもので、この機能をもつ宅配ボックスにおいては、荷物到着の通知・外出先からの宅配ボックスの開錠施錠・宅配ボックスを利用した集荷の依頼などが可能となっています。モニターの8割が便利さを実感しており、このIoT機能を頻繁に利用した人ほど再配達率も低いというデータもでました。
 
 
 
再配達削減PR月間というこの機会に宅配の利用の仕方やどのように受け取るのが自分にとっても最善であるかちょっと考えてみませんか?配送の過剰ともいえるサービスはドライバーの報酬が抑えられているためにできているとも言えますし、そのためドライバーの報酬が上がらないという側面もあります。私たち軽貨物運送業者も引き続き企業努力を怠ることはしませんし、個々のドライバーも日々工夫をこらしていかにお客様に満足して頂けるかを考えて業務を行っていきますが、便利を追求するだけではなく自分にできることもしていくということが社会全体にとっても重要であるということをたくさんの人に理解頂けたらと思います。

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