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ワークライフバランスにつぐ新たな3つの考え方とは?

ワークライフバランスは年齢性別問わず働く人すべてに関係する考え方です。
この概念は1980年代のアメリカで生まれたと言われています。当初この考え方による取り組みは、働く女性のための保育支援が中心でしたが、1990年代に入ると子供のいない女性や男性にも重要な概念と考えられるようになって、介護支援や生涯学習支援などへも取り組みが広がりました。
日本では1990年代以降、雇用環境の悪化や少子高齢化・男女雇用機会均等法の浸透などに伴って労働者の働き方に対する価値観が多様化したことをきっかけに、このワークライフバランスが意識されるようになりました。2007年に内閣府が定めた『仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章』においてワークライフバランスが実現した社会とは「国民一人一人がやりがいや充実感を感じながら働き仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても子育て期・中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定められており、仕事が上手くいくことで心のゆとりを持つことができ、私生活も充実することで仕事のパフォーマンスが向上するなど相乗効果が期待できるとされています。
しかし、近年「ワークライフバランスは古い」と言われ、新しい考え方が台頭してきています。
 
 
なぜ「ワークライフバランスは古い」と言われてしまっているのでしょうか?
ワークライフバランスというと【仕事をしすぎない事が大事】というイメージを持っていませんか?確かに仕事をしすぎることによってプライベートとの両立が困難になることは、ワークライフバランス実現における大きな問題ではあります。ですが、このようなイメージだけが先行してしまったことでワークライフバランスは【とにかく労働時間を減らすこと】や【仕事はほどほどにプライベートを充実させること】といった誤った認識が浸透してしまいました。そのため、そもそも仕事と家庭を天秤にかけるのは本来の趣旨ではないにもかかわらず、仕事と家庭が対立し仕事について消極的になることを思い起こさせることがあるワークライフバランスは古いとされてしまうことになったのです。
 
さらに以下の3つの問題がでてきたことで古いとされる風潮はさらに加速しました。
【仕事と生活の両立は難しい】
在宅ワークの増加で仕事と生活の区分がなくなりつつあり、どこでも働けてしまうという問題
【取り組み自体がストレス】
人には仕事が未完了だとリラックスできない心理が生じる傾向があり、限られた時間で結果を出す必要がでてくるワークライフバランスでは生産性の向上が伴わないとそれを生活に引きずってしまう可能性がある問題
【一人一人の要望に対応しきれない】
特にタイムリーな対応が求められる仕事ではすべての従業員の状況把握とニーズに沿った環境の提供に限界がある問題
 
 
上記のようなワークライフバランスの問題点が意識された結果『ワークライフマネジメント』『ワークライフインテグレーション』『ワークアズライフ』というそれに代わる新しい考え方が提唱されるようになりました。
 
 
《ワークライフマネジメント》
ワークライフマネジメントは、『個人が主体的に自己を管理し、仕事と生活の両方を充実させる』という考え方です。
ワークライフバランスは長時間労働の問題が背景にあったことから、業務の見直しや雇用管理・人事評価制度の見直しなど、企業が主体で進めることばかりで、従業員は取り組みに受動的である印象が強いところがありますが、ワークライフマネジメントは従業員自らも実現に向けて主体性をもって積極的に取り組むことが強調されている考え方で、ワークライフバランスよりもポジティブに仕事と生活の調和を捉えているという点がメリットとなります。バランスという表現もなくなり仕事と生活が対立するというイメージにも繋がりにくいです。
ワークライフマネジメントを推し進めることで、育児中などで通常勤務が困難な人も仕事に積極的に参加できるようになったりするなど、多様な人材を持つ組織を実現できると言われています。
そのために企業としては従業員が自ら働き方を管理できる労働環境の整備(具体的には育児・産休制度、フレックスタイム制度、リモートワーク制度など)が必要です。また制度を導入するだけでなく、従業員の意識改革を図ることも大事で、導入後もPDCA(Plan 計画⇒Do 実行⇒Check 評価⇒Action 改善)を回すことが重要です。
 
 
《ワークライフインテグレーション》
ワークライフバランスやワークライフマネジメントが仕事と生活を別のものと認識しているのに対して、こちらは『仕事と生活を統合する』という考え方です。ワークライフインテグレーションを推進することは企業にとって簡単なことではありませんが、「仕事と生活を統合する」というところから、これまで問題として指摘されてきた「仕事に追われて家庭生活を充実できない」ということへの有効な対策となりえる考え方でもあります。また仕事と生活のどちらかではなくどちらも充実させやすいというメリットがあります。
仕事と生活を区分しないので、仕事でも家庭生活でも得た情報やスキルを活用することで相乗効果が見込め、プライベートと仕事を充実させることで心身のリラックスにもつながりメンタルヘルス向上にも効果があると期待されています。例えば、リゾート地や旅先でテレワークを行い休暇を取りながら働く「ワーケーション」はワークライフインテグレーションの一つと言えるでしょう。
この考え方の推進には、必要な制度の導入はもちろんのこと、新しい働き方に対して広く理解を得ることがとても重要です。具体的には、自社にとって生活を統合するとはどういうことか、どのような制度改革が必要か考えることが求められます。
 
 
《ワークアズライフ》
こちらもワークライフインテグレーションと同様、仕事と生活を区分しない考え方ですが、仕事の捉え方が異なります。具体的には『自分のやりたい事と仕事が一致している』というのがワークアズライフです。
この考え方では仕事も生活の一部であるため「仕事に時間を奪われる」と感じることがありません。仕事は好きなことであり趣味でもあるので仕事から受けるストレスも抑えられます。この点から比較的ストレスなく意欲的に仕事を継続できることがメリットと言えるでしょう。
意欲的に仕事を進められる分、スキルアップや生産性の向上が期待されます。
ワークアズライフを推進するには自身の好きな事・できること・苦手なこと・できないことなどを明確にすることが重要ですが、それを明確にしても好きな事を仕事にすることができるとは限りません。好きを仕事にするという大きな魅力がある反面その仕事を見つけ就くことは容易ではない点がこの考え方の難しいところです。
 
 
 
この3つの考え方は上記のとおりそれぞれに特徴がありますが、ワークライフバランスと比べて、『働く人自身がそれらの実現について能動的に仕事と生活を無理なく融合させること』にポイントが置かれている所は共通点といえるでしょう。
皆さんにあった考え方はありましたか?自社でも取り入れられそうですか?
時代は刻一刻と変化しつつあり、日本においては少子高齢化による労働人口の減少の問題も抱えています。一個人としても会社としても多様な働き方を模索し実現していくことは、今まさに求められていることでもあります。消極的にならず率先して取り入れることは取り入れて挑戦・実践していきたいですね。

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