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フル電動自転車の社会問題

私たちの生活を便利にしてくれる自転車。その中でも電動アシスト自転車は日本で生まれました。電気アシストパワーで坂道も楽々、体力低下もカバーできるので、健康志向や高齢化への対応が可能な他、環境問題にも配慮できるとあって、人気があり所持している人も多い自転車です。欧米ではもっとアクティブに走れるスポーツアイテムとしても進化しています。
様々な目的から自転車(最近では電動キックボードというあらたな移動手段も)が欠かせないという人が増えているのでしょうか、自転車がかかわる交通事故も増えていて、今行われている「春の全国交通安全運動」でも重点項目にあげられており、交通安全において注目されているところです。
そんな今、電動アシスト自転車よりも強い補助動力を持ち、ペダルを漕がなくても走ることができるのが特徴の『フル電動自転車』が社会問題視されています。
 
 
「自転車」と名前がついていますが、フル電動自転車は電動アシスト自転車とはまったくの別物です。
 
警視庁のホームページの電動モビリティに関する記述によると・・・
フル電動自転車も電動アシスト自転車も「電動自転車」と呼ばれますが、この電動自転車の中でフル電動自転車は『ペダル付原動機付自転車』、電動アシスト自転車は『駆動補助機付自転車』となります。
『ペダル付原動機付自転車』とは、道路交通法施行規則第1条の2に規定する大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レールまたは架線によらないで運転する車(軽車両、移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車及び歩行補助車等は除く)であって、これに備えられたペダルを使って、人の力によっても走行させることができるものをいいます。道路交通法上は原動機付自転車に分類されており、つまり「ペダル付原動機付自転車=バイク」という取扱いがされます。
一方、『駆動補助機付自転車』は人の力を補うため原動機を用いるものであって、道路交通法施行規則第1条の3で定める基準に該当する自転車で道路交通法上「自転車」として扱われるものです。
さらに『ペダル付原動機付自転車』の中で一定の基準を満たし、原動機による最高速度だけではなくペダルを漕いでも時速20キロメートルを超える速度を出すことができないものを【特定小型原動機付自転車】(これには電動キックボードが含まれます)とし、それ以外を【一般原動機付自転車】として取り扱います。
 
 
『ペダル付原動機付自転車』は原動機を使用せずに走行することも可能ですが、ペダルを使って人の力のみによって走行し又はスイッチを切り替えて電動アシスト自転車モードで走行したとしても原動機付自転車の「運転」に該当します。そのため[免許証、ナンバープレート、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用、ミラーやウィンカー等保安基準を満たした装置]このすべてが必ず必要となっています。また歩道を走ることはできません。(ちなみに駆動補助機付自転車は[免許証:不要、ナンバープレート:不要、保険への加入:自治体による、ヘルメットの着用:努力義務、ミラーやウィンカー等保安基準を満たした装置:義務なし]となっています。)
しかし、実際には義務とされているヘルメットを着用していなかったりナンバープレートをつけていないなどルールが守られておらず、それだけでなく、無理な追い越しや逆走・歩道を猛スピードで走るなどの危険運転が横行しているのが現状です。ペダル付原動機付自転車=フル電動自転車の2022年の交通違反検挙数は96件、翌年には345件と大幅に増えています。そのほとんどは装備不良が理由だったそうです。2023年7月には事態を重くみた国交省と警視庁が合同で取り締まりを行っています。また2022年の指導・警告は1096件にもなり、その内容は無免許運転が最多だったとのことです。これについては「自転車だと思った」「原付とは知らなかった」と弁解する人も多く、よく知らずに乗っていることがわかります。
 
 
電動アシスト自転車と勘違いするというケースもあるようです。国民生活センターには「公道で走れないものと知らず購入した」という相談も寄せられています。もともと外見からは電動アシスト自転車とフル電動自転車は見分けがつきにくく、ネット通販サイトには、電動アシスト自転車の表示があったりヘルメットなしで走行している写真が挙げられているなどの紛らわしい表記がされていたり、公道を走るために諸々必要なものがある点については下のほうに小さく書かれているなど、あえて販売者側が勘違いして購入するのを狙っているかのようなものが実際に確認されているそうです。運転免許などが必要と知らずに購入してしまった人のほとんどはネットで購入していたことがわかっています。
 
 
このフル電動自転車が社会問題となっている大きな問題点の一つは「便利さだけを求め、よく知らずにまたルールを守らず利用することがどういったことに繋がるかの認識の甘さ」ではないでしょうか?
考えてみてください。確かに無免許運転は何もなければ「知らなかった」「携帯するのを忘れた」と指導・警告ですんでしまうことも多い違反ですが、本来反則金ではすまないような厳しい違反です。車で事故を起こしてしまったしかも無免許であったというケースを想像してみればその重さはわかりやすいかと思います。また所有者に加入が強制されている自賠責保険は、未加入や保険期間切れの場合は「50万円以下の罰金または1年以下の懲役」と「違反点数6点」で免許停止処分の対象となります。自転車保険はかけていると言っても、フル電動自転車は自転車ではないため、もし事故を起こしてしまった場合補償対象外、他の保険の個人賠償責任特約なども利用できません。近年自転車の事故でも高額な賠償請求の事例が出ていますから、フル電動自転車なら尚更加害者は莫大な損害賠償金の支払い義務を保険金などのカバーなしに負う可能性があります。
無免許運転や無保険のリスクが非常に大きいことをしっかりと認識すべきです。
 
もしこれから電動アシスト自転車の購入を考えている人は、フル電動自転車や違法な電動アシスト自転車を間違って選んでしまうことのない対策として、TSマークのついている製品をできれば実際に店舗で見て購入すると良いでしょう。特に型式認定のTSマークが貼られているものは、法律の電動アシスト自転車のアシスト基準に則っており、且つ自転車の基準も満たしているので安心して利用できます。
フル電動自転車はもちろん、特定小型原動機付自転車にあたる電動キックボードなどを購入・利用する場合にはどういった基準や条件が適用されているのか今一度よく確認した上で、ルールをしっかり守って乗るようにしましょう。
 
 
仕事で車を運転する人にとっては、知っておくべき最近の交通状況の一つです。自分が使う側でなくてもそういった電動モビリティが多く走っていること、遭遇した場合には違反者も多いため、巻き込まれないようにするためにその危険な運転を予測し充分注意して対応することが必要とされていることを念頭において業務に勤しんでいきたいですね。

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