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今注目されるギグワークとは?

今や一人が一台以上のPCやスマホ・タブレットを持つ時代です。インターネットの普及は私たちの生活の中の様々な事を「いつでもどこでも」可能にし、各業界に大きな影響を与えてきたことはいうまでもありません。
それは働き方についても同じで、働き手を増やすための国主導の働き方改革が進められ、コロナ禍の長期化によって労働環境も変化しつつありますが、インターネットの役割は非常に大きいものがあると思います。
そういった環境もあってか労働者にも正規労働者至上主義を良しとせず、多様な働き方に魅力を感じている人が増えてきています。

 
その多様な働き方の一つで数年前から日本でも注目されている「ギグワーク」というものがあります。

 
ギグワークとは「単発の仕事をこなす働き方」のことをいい、もともとアメリカでミュージシャンが気遣いのいらない仲間と単発で即興演奏することを表すことから転じた細切れの単発の仕事を意味する「gig(ギグ)」と「work(働く)」があわさった造語です。ギグワークの労働者をギグワーカー、ギグワークで成立する経済圏をギグエコノミーと言います。

 
ギグワーカーは仕事を管理するプラットホームとなる事業者などと雇用契約を結ぶか雇用通知を介して契約を交わしますが、正規・非正規従業員としてその組織に所属することはなく、端末などを使い空き時間を利用して仕事を受けます。
組織に所属せず個々の仕事を請け負うという点では「フリーランス」とよく似ていますが、厳密にいうと違います。フリーランスは「プロジェクト単位で仕事を受ける」もので、そのプロジェクトを完遂する義務があります。また単発で仕事をこなす働き方というよりも専門知識や技術を提供して報酬を得る働き方であるということのほうがフリーランスという言葉の意味の中心にあります。それに対してギグワーカーは完遂する義務などはなく、自分の都合の良い時だけ働き、いつでも辞めることができるというのが最大の特徴と言えます。フリーランスとアルバイトの中間の存在と定義されているようです。

 
組織に属さず、社会的なしがらみとは無縁で、自分の裁量で働けるというのはとても魅力的に感じますよね。
ではギグワークのメリットとデメリットを見てみましょう。

 
<メリット>
 ・柔軟性の高い雇用形態のため自由な働き方ができる
   都合の良い日時に仕事ができるので自分のライフスタイルにあわせた働き方が実現しやすいです。
 ・自分のスキルや価値を正しく見極めてもらえる可能性が高い
   いくつもの会社に関わることになるので様々な会社に自分をアピールすることができます。実力にあった評価・報酬
   を求める人には働きやすいシステムと言えます。
 ・(企業側)ギグワーカーを使うことで福利厚生や月給といった固定費用を削減できる
   正規従業員の雇用を減らし、その分をギグワーカーの報酬に上乗せしても収支のバランスがとれるとの見方もあります。
 ・(企業側)即戦力の人材を確保できる
   様々な業界の多くの企業が経営難の中、即戦力になるギグワーカーを使うことで、人材育成にかかる時間やコストを
   削減できるため、人事担当者も注目しています。

 
<デメリット>
 ・雇用契約が曖昧で労働者の保険や権利を主張しづらい
   2021年9月から代表的なギグワーカーであるフードデリバリーの自転車配達員やITエンジニアなども労災保険に特別
   加入できるようになりましたが、まだまだ社会保障が受けづらい・休業補償もない状況にあり、そういったリスク管
   理や会計・納税などの雑務も自分でやらねばなりません。
 ・自分の価値や孤独感によるモチベーションの低下
   社会とのつながりが希薄になりやすく、複数の肩書きを持つことによりアイデンティティを見失いやすいとも言われ
   ています。どこにも所属してないという本職不明のストレスを抱えることもあり、生き方・働き方の方向性を明確に
   することが必要とされます。
 ・競争による新たな格差の発生
   このようなシステムですから当然ギグワーカー同士の仕事の取り合いが発生しやすく、有能な人に仕事が集中する傾
   向にあります。そのため常に業界内の動向に目を向けつつ、自分のスキルアップの努力も必要とされます。

 
日本の一歩先を行くアメリカでは、ギグワークが一般にも浸透していて、ギグワークのみで生活をしている人も大勢います。今から数年前にはギグワークに携わっている労働者がすでに全労働人口の3割を超えていたのですから驚きです。
アメリカは日本のような保険制度がなかった為、会社に所属していないと治療費も自費で負担しなければならず、独立したくてもそのハードルが高いという課題がありましたが、オバマ政権時代に医療保険改革がされたことで労働者の独立が促されたことと、また独立し短期の仕事をしたい専門家と企業とをマッチングさせるプラットホームが相次いで開発されたことがギグワークを急速に広める要因となりました。

 
では日本ではどうでしょうか。
働き方に対する考え方に変化がでてきた今でも、正規雇用信仰が根強く、フリーランスやギグワーカーよりも正社員の立場が高かったり、そもそも労働市場でもてはやされるスキルをもつ労働者が少ないなどの理由からギグワークの浸透はまだ時間がかかるといわれていました。しかし、コロナ禍による雇用環境の悪化から致し方なくギグワーカーとなる人や収入減を補うため副業としてギグワークを選択する人が増えているようで、ギグワークの大手仲介4社の主要サイトの累計登録者数はコロナ感染拡大とその影響が騒がれ始めて数か月の2年前の時点で、全就業者の約1割に相当する700万人に達しており、アメリカとは事情は異なりますが、日本においてもギグワークは思いの外早く浸透しつつあるようです。

ギグワークのメリットは今まさに労働者も企業ももとめているものなのでしょう。副業をする人の割合もますます増加しており、企業がスキルを持った副業人材を受け入れる動きも実際にあります。今後も注目の働き方としてもっと多くのギグワークのプラットホーム事業者が台頭してくることも考えられます。

 
私たち運送業においても、すでにギグワークのプラットホーム事業者は存在し、実際運送業でギグワークを実践しているドライバーさんもいます。多様な働き方の一つとして運送業にも新しい流れがやってきたことは喜ばしいことですが、上記のデメリットにもあげられていたとおり、まだ制度も整っていないこともあり収入は不安定でリスクも大きいことは念頭においておく必要があります。
ギグワークで食べていくためには「自分はこうしたい」という明確な方向性や高い知識・技術・能力が必須とも言えるので、ただ「自由にできるから」や「気に入った仕事だけできる」といった安易な理由でやるべきではありません。

 
ギグワークに限らず、世間では即戦力がもとめられています。何の仕事をするにもまずはスキルアップが必要だということですね。

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