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雇用者と雇用者以外との社会保険の比較

社会保険は社会保障制度の一つです。一般的に「社会保険」というと雇用者が加入できる「健康保険や厚生年金」のことをいうことが多いですが、広い意味での社会保険は、疾病・高齢化・介護・労働災害・失業などの事態に備えて、事前に雇用者や雇用主またはその両者が法律に従って割当金を提供することで保険による手当てをうけることができる仕組みのことを言います。

 
社会保険には「医療保険」「年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つがあり、「企業に属している雇用者かそうでないか」によって加入先が分かれ、保険料や保障内容に違いがあります。

 
企業に属している雇用者(=働いた対価を企業から給与や賃金としてもらっている人)はいわゆる社会保険の『健康保険・厚生年金』に加入でき、保険料は企業と折半となっています。
また『労災保険』は企業が全額負担、『雇用保険』は企業と本人がそれぞれ負担することでこちらにも加入することができますが、会社役員の立場にある人は、一定の条件にあてはまる場合を除き労災保険と雇用保険の対象にはなりません。

 
一方、企業に属している雇用者ではない自営の事業主や一定条件を満たさないパート・アルバイト、無職の人に至るまでその他すべての人は『国民健康保険・国民年金』に加入することになります。こちらの保険料は全額自己負担です。また労災保険と雇用保険には加入できません。

 
 
どのような違いがあるのか医療保険に焦点をあてて見てみましょう。

 
そもそも日本の医療保険は【国民皆保険制度】といい、誰もが必ず公的医療保険制度に加入する仕組みになっています。これによって医療機関に受診した時も1~3割負担ですんでいるわけです。世界のどの国も行っている制度ではなく、こういった制度のない国もあります。
よく「国民健康保険といわゆる社会保険の健康保険、どちらが安いのか」という質問がされていますが、この二つの健康保険は保険料の算出方法が異なっていて一人一人金額が変わるので、一概にどちらが安いという判断はできません。

 
国民健康保険は市町村が運営しており、前年度の世帯の所得合計と世帯人数などによって保険料を算出しています。保険料の算出に適用される期間は1月1日~12月31日です。そのため現在の所得と保険料とがアンバランスになりやすい傾向があります。退職や転職などにより収入が激減したにもかかわらず前年度の所得が多かったために高い保険料を払わなければならない場合などは軽減・免除の制度があるので市町村の窓口に相談すると良いでしょう。なお国保の保険料には上限が設定されています。

 ※対象となるのは高所得者のみだが、日本全体の一層の高齢化による医療費の保険負担の増加とそれによる保険財政の悪
  化を懸念して、2022年度から国民健康保険の年間保険料の上限が3万円、後期高齢者医療制度(75歳以上が加入)の年間
  保険料の上限が2万円引き上げられることとなっている。

 
いわゆる社会保険の健康保険のほうは全国健康保険協会(協会けんぽ)やそれぞれの健康保険組合・共済組合が運営者です。保険料は毎年4・5・6月の給与をもとに標準報酬月額が決定され、それに保険料率をかけて算出し、その年の9月から翌年の8月まで適用します。保険料率は健康保険組合ごと、協会けんぽは都道府県ごとに設定されています。このような仕組みから4・5・6月が繁忙期などで所得が多く、それ以外の月の所得が低い場合に保険料が高くなってしまうということがありますが、こちらはそのような場合一定の条件を満たしていれば保険料適用の仕方を変更できる制度があります。

 
算出した結果、国保と健保の保険料にあまり差がなかったとすると、健保のほうが会社で保険料を半額負担してくれるので保険料が安いということになりますね。また国保はその算出方法から世帯全体の所得に対する保険料が請求されているのに対して、健保には扶養制度があり、加入者の保険料のみで扶養家族も健康保険が利用できるという点や傷病手当金や出産手当金などの保障がついている点からも実質的に保険料が安いといえるかもしれません。

 
 
では年金保険ではどういった違いがあるのでしょうか?

 
国民年金は保険料が一律なので、将来受給できる年金の金額も加入期間に応じて一律となります。また年金の上乗せ制度である国民年金基金にも加入することができます。遺族年金の制度はありますが、生計を一つにする子がいる場合に限ります。

一方、厚生年金は収入に応じた保険料になります。そのため加入期間と現役時代の収入によって受給額は変わってきます。そもそも厚生年金に加入している人は国民年金にも入っていることになっているので、国民年金に厚生年金の受給額が上乗せされる形になります。また加入者に扶養している配偶者がいる場合、第3号被保険者とすることができ、そうなった配偶者は年金保険料を支払う必要なく将来は国民年金を受け取ることができます。遺族年金においても生計を一つにする子、妻、夫、父母、祖父母がいる場合と範囲が広いです。それと「加給年金」という厚生年金の被保険者期間が20年以上になる人が65歳になった時、その人に生計を維持されている配偶者か子がいる場合に加算して支給される制度もあります。

 
 
こう比較してみると、保険料は高低はともかく、保障の範囲はやはり雇用者が加入できる社会保険のほうが充実しているようです。
また雇用者の社会保険は給料から天引きのため、よく手取りが少ないと言われますが保険料の払い忘れや保険料が払えないということがないとも言えます。

 
 
私たち軽貨物運送業者になくてはならない配送ドライバーのみなさんは基本的に個人事業主です。通常加入できるのは国民健康保険と国民年金のほうであるということになります。配送ドライバーに限らず、雇用者ではない形で生計をたてている方や家計を支えている方などの保障範囲は上記の挙げたとおりそれほど広くないため多くの不安を抱えていらっしゃる方やそのため踏み出すことに躊躇している方もいらっしゃると思います。不測の事態や将来のことを考え充分な備えをするには、他の制度も利用したり、私的な保険や年金に加入したり、経費の管理もしっかりしなければとお考えではないでしょうか。それらはいまだ雇用者のほうが手厚く感じられる社会保険ではどうしても必要なことです。
しかし家庭では共働きがほぼ当たり前の時代、コロナ禍による考え方の変化や多様化、ギグワーカーの増加なども背景にあり、働き方改革によって根本的なところを見直すべきところにきていて変わりつつある時期にあるとも思います。その点で社会保険の今後の改正に期待をしても良いかもしれません。

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