お知らせ

NEWS
協力業者さま募集中

見落としてはいけない車のブレーキの不具合

9月~10月の2ヶ月間は「自動車点検整備推進運動強化月間」とされ、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています。
とくに乗車定員30名以上の大型バスを運行するバス事業者や事業用トラックを50台以上使用する貨物運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地元の運輸支局から注意喚起が行なわれるというものですが、あなたの乗っている車は大丈夫ですか?
事業用の大型車に限らず、車両の数あるパーツの中でも「ブレーキ」はタイヤと並んで車の最重要パーツの一つとされています。車を走行させることでかかる負荷も大きく、パッド・ローター・フルード・ホースなどすべてが消耗品で構成されているため、メンテナンスを怠ってはいけない部分です。何かブレーキに不具合があった場合、怖いおもいをするだけですめばまだ良いですが、他者を巻き込む重大な事故にもなりかねません。
今日はこのブレーキの不具合や点検のポイントとそれぞれの対処について確認しておきたいと思います。
 
 
 
まずブレーキの部品とその仕組みですが、いくつかブレーキシステムがある中で、一般的な車両には「ディスクブレーキ」というシステムが搭載されています。このディスクブレーキではブレーキローターという部品の後部にブレーキキャリパーという装置がついており、さらにその中にブレーキパッドと呼ばれる摩擦材とピストンと呼ばれる押し付け機構が入っています。
車が走行する時タイヤが回転すると同時にブレーキローターも回転します。車がブレーキをかけるとピストンがブレーキパッドを押し付け、ブレーキパッドがブレーキローターを挟み込んでおさえます。この時の摩擦力で車がとまる仕組みとなっています。
 
 
では各不具合ついて見て行きましょう。
 
 
◎ペダルの踏みごたえが弱い・効きが悪い
車のブレーキシステム(ディスクブレーキ)は油圧式です。その要であるブレーキフルードは湿気の影響を受けやすいという特徴があります。劣化することで湿気を吸いやすくなって水分を含むようになってしまいます。すると沸点が下がってしまいブレーキの温度が上昇した時にフルードが沸騰して気泡が発生し、その気泡に踏力が吸収されてしまって伝わらなくなりブレーキが効かなくなってしまうのです。これを「ペーパーロック現象」といいます。軽度ならエア抜きを行うことで解消されますが、ブレーキフルードが変色するほど劣化している場合は交換が必要になります。特別異常がなくてもブレーキフルードは2年に一度が交換の目安です。
 
※ブレーキフルード・・・油圧式ブレーキの内部を満たしているオイルのこと。ブレーキオイルとも言う。
 
◎ブレーキを踏むとブレーキペダルやハンドルが振動する
原因はブレーキローターの歪み・波打ち・偏摩耗が考えられます。ローターに厚みの余裕があれば表面を研磨して解消しますが、摩耗限度に近い場合は新品に交換します。フロントディスクは新品からマイナス2mm、リアディスクはマイナス1mmが交換の目安です。
 
※ブレーキローター・・・自動車のブレーキシステム「ディスクブレーキ」を構成する重要部品の一つ。薄い円盤状で、真ん中に穴があいている形をしている。鉄・アルミニウム・ステンレスなどが素材として使われる。
 
◎ブレーキの固着
ブレーキは長年使ってるとブレーキキャリパーの中のピストンが固着しブレーキパッドの戻りが悪くなることがあります。酷い場合にはブレーキが効いている状態で走ってしまうことになります。こういう時は分解しきれいに清掃、グリスアップすることで元通りに使うことができます。
 
※ブレーキキャリパー・・・自動車の制動操作を直接行うブレーキパッドの動作をコントロールする、ブレーキの性能を左右する部品。
※ブレーキパッド・・・ブレーキローター内に組み込まれている車のブレーキ制動を司る重要部品。2枚一組になっていてローターの両側から挟み込む形で搭載されている。
 
◎ピストンシールが破れている
ブレーキ周辺は常に高温にさらされているため、熱による劣化が多いです。ピストンシールも熱よって固くなりやがて破れてしまうので定期的な交換が必要です。車検ごとにチェックするのが良いでしょう。問題があればオーバーホールを依頼します。
 
※ピストンシール・・・ブレーキフルードに侵されない耐油性のある円形のゴムの部品。ブレーキキャリパーの中の溝にありピストンにも密着していて、ブレーキフルードが外気に触れないようにすることと、そのゴムの弾性によって動いた分ピストンを引き戻す役割をしている。
※オーバーホール・・・車両機器を分解してから点検や修理などを行うこと。通常の点検作業では行えない清掃や部品交換の際にとられる手法。時間もかかり費用も高くなる。
 
◎ブレーキの鳴きがある
トラブルとは言い難い現象ですが、ブレーキパッドの摩耗が原因の場合もあるので、急に鳴くようになったら点検をした方が良いです。原因は複合的なこともあり、ブレーキローターの研磨・交換、鳴き止めグリースの塗布・シムの装着、ブレーキパッドの面取り、ブレーキキャリパーのメンテナンス等で解消します。
 
※シム・・・ブレーキシムはブレーキの鳴きやブレーキパッドの偏摩耗を防止する部品。
 
◎パッドの減りが早い・偏摩耗する
ブレーキパッドは熱の影響で摩耗し残りが半分になると急に減りが早くなるので注意が必要です。車検時しかブレーキをチェックしていないようならパッドは残量が残り5mmを切ったら交換した方が良いです。またパッドが偏摩耗している時はブレーキキャリパーのオーバーホールやブレーキローターの研磨・交換も検討したほうがいいでしょう。
 
◎ブレーキを踏むとはじめの一回だけ深くペダルが沈みその次からは正常に戻る
「ノックバック」と呼ばれる現象で、ブレーキパッドがブレーキローターにより叩かれパッドとローターの隙間が正常時より広がりすぎるため起こるものです。ローターの振れが大きいのが原因と言われていて、ローターの研磨・交換が一番の対処法です。ブレーキキャリパーやブレーキパッドの片減りなどの影響もありえます。
 
◎ブレーキホース
純正のブレーキホースは10年10万㎞が問題なく使える目安です。亀裂やひび割れ・ふくらみが生じたら即交換して下さい。チューニング用のメッシュホースではもっと寿命が短く、ブレーキのアフターパーツで有名なメーカーでは3年ごとの交換をすすめています。
 
◎パーキングブレーキの調整
パーキングブレーキのチェックも忘れてはいけません。パーキングブレーキも長年使っていると引きしろが伸びてくることがあるため、車検ではパーキングブレーキの効きもチェックされます。車検の前の調整をオススメします。
 
※引きしろ・・・パーキングブレーキの引きしろは車種ごとに設定されている。レバーを上げるとカチカチと音がなるが、この音の回数を「ノッチ数」といい、引きしろは規定の力でレバーを引きあげた時に何ノッチでレバーがロックされるかという数値で示される。
 
 
 
ブレーキだけでもこんなにもチェックのポイントがあることがおわかり頂けたでしょうか?
定期的にブレーキパッドの残量とブレーキフルードの量だけでもチェックしましょう。また1年に一度はタイヤを外し、しっかりとした点検もしたいところです。自分で点検が難しい場合は定期的に又は異常を感じたらすぐに専門家へ相談し、信頼のおけるところで点検・処置をしてもらうようにしましょう。

お問い合わせ
お問い合わせ