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禁煙・無煙を実現しましょう~たばこの影響~

皆さんはタバコを吸いますか?
少し前のデータですが、全体としては喫煙率は下がってきているものの、働き盛りの男性にはまだ3~4割の喫煙者がいるという現状があるようです。
 
毎年2月は生活習慣病予防月間とされています。日本生活習慣病予防協会は、生活習慣病の発症や病状の悪化に関わる「喫煙、多量飲酒、過食、運動不足、休養・睡眠不足、孤独感」などの不健康な生活習慣を避けるために日常心がけたい生活習慣を『一無(禁煙)、二少(少食・少酒)、三多(多動・多休・多接)』と表現し提唱しています。そしてその中でも今年は【禁煙・無煙】に重点が置かれています。
 
 
 
タバコは癌や生活習慣病などあらゆる病気の発症や悪化に影響していると言われており、吸った本人だけでなくその吐いた煙(副流煙)を間接的に吸うことによっても喫煙と同じ状態に周りの人を陥らせる(受動喫煙)可能性もあるものです。
タバコの煙には不完全燃焼により生成された7000種類の化学物質、250種類の有害成分が含まれていて、そのうち70種類以上に発がん性が確認されています。
 
[代表的な有害成分]
・ニコチン⇒依存性があり、血管収縮作用が強く血圧を上昇させる。糖代謝や脂質代謝にも異常をも
      たらし様々な生活習慣病を引き起こす。脳の血管の収縮は脳卒中や認知症にも繋がる。
・活性酸素⇒全身の細胞に結合し、細胞を酸化・老化したり、傷つける。血管を狭めるコレステロー
      ルの塊も活性酸素があると悪玉コレステロールと結びついてさらに増えてしまう。
・一酸化炭素⇒赤血球のヘモグロビンと結合して酸素と結合するのを妨げるので、結果酸素を運ぶた
       めに赤血球の数が増え、血がドロドロになり血栓ができやすくなる。
・タール⇒発がん物質や発がん促進物質、その他の有害物質が含まれている。
 
上記のような有害とされる成分の効果によって、がんならば肺がんに限らず全身10ヵ所ものがんの発症率を高め、他にも虚血性心疾患や腹部大動脈瘤・末梢性動脈硬化・2型糖尿病、妊娠中の女性では早産や低体重出生・胎児の発育遅延、受動喫煙による小児の喘息や乳幼児突然死症候群(SIDS)などに確実に影響することがわかっています。
最近ではいまだ流行の止まらない新型コロナウイルス感染症の発症と重症化に関わっていると指摘されていて、喫煙者は非喫煙者に比べて後遺症のリスクも高くワクチン接種による抗体価も上昇しにくいとも言われています。
 
 
加熱式タバコや電子タバコにしているから大丈夫という人もいるかもしれません。確かに紙巻タバコと比較してこれらは有害成分が90%削減されていますが、それは一部の有害成分のみであって、有害成分によっては逆に紙巻タバコよりも多く含まれているものもあるのです。ある研究者は「100階から飛び降りていたのを10階からにしただけで結果は同じ」と表現していますが、加熱式タバコや電子タバコにしても病気の発生率は紙巻タバコを吸っているのと変わりません。この点は誤解している人が多いと思うので正しく認識しておきたいポイントです。ちなみに超低タールやニコチンのタバコも普通のたばこと変わりありません。削減された有害成分でも充分病気を引き起こす量だということです。
 
 
 
喫煙者はさらに「歯周病」にもかかりやすく、悪化しやすく治りづらいこともわかっているのだそうです。歯周病もまた様々な生活習慣病の要因となっている病気です。
細菌感染症であり、その細菌が増えて炎症を起こし、歯を支える組織(歯槽骨と呼ばれる骨や歯肉と呼ばれる歯茎)が破壊されてしまう歯周病...初期段階では自覚症状が何もなく痛みもなく成人の8割が罹っているにもかかわらず気づいていないと言われています。
口の中の病気ですが、歯周病によって産生される炎症性物質と歯周病菌そのものによって全身の様々な病気に繋がっていることがわかってきています。例えば、糖尿病・心臓病・骨粗しょう症・肥満・脳梗塞・認知症・誤嚥性肺炎・関節リウマチ・低体重児出産や早産などです。がんの発生も歯周病の毒素が関係していると証明する研究も進められています。
では喫煙と歯周病はどう関連しているのでしょう?
喫煙は歯周組織の血流・血の巡りを悪くします。すると歯周組織が良い状態を保てず傷が治りにくくなり、歯周病の場合は治療がうまくいかなくなりますが、その一方で歯茎の腫れは少なくなるため一層歯周病を自覚しづらくなり歯周病になりやすく一気に進行するということのようです。またニコチンが付着することによっても治りづらく歯周病の進行しやすい環境になってしまいます。喫煙によって口の中の老化が進むイメージです。その影響はインプラント治療を施した後にも及ぶと言われています。
 
 
 
身体への悪影響以外にも、葉タバコの乾燥に大量の薪を使うため、タバコが環境破壊と地球温暖化の要因の一つになっているとして大きな批判が巻き起こっています。
タバコの製造のために森林から伐採される木は毎年6億本、東京とほぼ同じ面積である20万ヘクタールの森林が毎年消失しています。燃やされる薪と喫煙によって排出される二酸化炭素は8400万トンで、これは一国が年間に排出する二酸化炭素とほぼ同じかそれ以上です。
タバコのポイ捨てによる水質汚濁や土壌汚染といった環境破壊や、食物連鎖でそれらを食べた生物の体内で有害物質が濃縮されていき、結果食物連鎖の頂点である私たち人間が最も濃縮された有害物質を食事をとおして取り込んでいる可能性なども危惧されています。
タバコは製造から消費にいたる全過程において大地・海・大気すべての環境破壊を引き起こしているのです。世界で二酸化炭素削減に取り組み、地球温暖化防止が進められていますが、タバコも2005年から「タバコ規制枠組条約」によってタバコの製造・販売・消費の規制がされています。
 
 
タバコの生産は人件費の安い貧困国の児童含む労働者によって生産されているという問題もあります。そんな国の子供たちは学校にも行かせてもらえず、まともな仕事につくことができず、貧困のスパイラルから抜け出すことができません。また「緑タバコ病」にかかる人が多いことも問題とされる要因の一つになっています。緑タバコ病は葉タバコを収穫する際などにニコチンが経皮吸収されて起きる急性ニコチン中毒で、頭痛・めまい・吐き気と嘔吐・下痢・過剰な発汗や唾液の分泌といった症状にとどまらず、血圧や心臓にも異常をきたし死に至ることもあります。
最近よく取り上げられるSDGsの中でもタバコ対策強化が強調されています。(タバコ規制枠組条約をすべての国できちんと守っていこうという目標が掲げられている)いかにタバコ産業がSDGsからかけ離れているかを認識する必要があるのです。
 
 
 
これらの話を聞いて喫煙している人が禁煙しようと思い立ったとして、特に依存度の高い人が一人でタバコを止めるのはなかなか難しいものがあります。禁煙外来の受診は不可欠でしょう。
その禁煙外来での新たな禁煙治療法として今「オンライン診療」と「禁煙アプリ」が注目されています。
オンライン診療はコロナ禍により対面診療が困難になったことから緊急措置的にスタートしましたが、これまでも忙しい合間をぬって複数回外来を受診することが難しい人も多かったため、その点でメリットがあり、現在はかかりつけ患者であれば初回からオンラインで禁煙診療が受けられるようになっています。また禁煙治療はニコチン依存状態に対する治療と精神的な依存状態に対する治療を並行して進めることが成功のカギですが、これまで受診日以外は言われたことを思い出し実行しながら一人で次の受診日まで過ごさなければならず、精神的依存の部分でのバックアップが十分ではありませんでした。それが「禁煙アプリ」の登場によって受診日以外の日常生活の中でもAIによる個別の助言や自己学習・セルフチェック・進捗状況の記載などができるようになったことにより成功率がぐっと上がりました。医薬品では解消できない心理的依存に対する心理療法をアプリが実施しているということです。使用には一定の条件があり、有料ではありますが、使わない手はないでしょう。
 
 
 
タバコの影響がどれほど大きいものかお分かりいただけましたか?
自分の身体だけでなく、周りの人や他の国の人、地球の健康にも悪影響を及ぼしているということを改めて認識し、もしタバコを吸っているという方がいましたら、今一度喫煙が本当に必要であるかを考える機会にして頂けたらと思います。

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